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それでも、柔軟な対応で困ったときにはすぐに来てくれる『暖手』の存在は、次第に口コミで広がっていき、現在、会員数は一二八名、月平均活動時間は五〇〇〜七〇〇時間にまで達した。内訳は、高齢者が六〇%、難病指定者が二〇%、残りが障害者(児)で、ほとんどが介護を含んだ援助になっている。

「当初は"やるんだったら勝手にやれ"という冷たい対応だった市や社協も、最近ではずい分変わってきて、ケースワーカーや保健婦さんなどを通じた依頼や問い合わせも増えてきました。やはり、実績がモノをいいますね」と内藤さんは顔をほころばせる。

 

埼玉県川越市に本拠地を置く、在宅支援グループ『暖手』は、地域で互いに助け合い、誰もが心豊かに暮らしていける「ふれあい」づくりを目標に設立された住民参加型の福祉サービス団体。主なサービス内容は、1]調理、掃除、買物などの家事援助、2]食事、入浴、排泄、通院介助などの身体介護。会員になるためには年会費3000円が必要で、利用料金は平日1時間900円、土日祭日同1000円(交通費200円別途)。サービスを提供したヘルプ会員に対しては、1時間につき平日700円、土日祭日800円の謝礼金が支払われる(200円は事務手数料)。(→連絡先は最終頁)

 

人、モノ、金とないない尽くしでも夢があるからがんばれる

 

活動をはじめて三年目。だいぶ、地域の中でも認知度も高まってきた『暖手』だが、その一方で、草の根ならではの悩みも尽きない。「中でも、今、一番の悩みは、会の専用車がないこと。会員さんの中には人工透析を受けている方も多く、送迎サービスに対するニーズは非常に高い。でも、事務所すら未だに借りられず、自宅の一室を開放しているのが現状ですから、とてもとてもリフト付きの車を買うお金もないし、各種の助成を申し込んでもいつも外れてしまう。

 

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プロの美容師さんが月に一度老人ホームを訪ねてのヘアカット。

 

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運営資金調達のためのフリーマーケットも盛況(川越水上公園)。

 

 

 

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