山崎摩耶著
(日本評論社 本体定価1800円)
高齢社会に向け、看護職の占める役割は大きく変わりつつある。看護者として20年近く地域医療の現場で訪問看護に従事し、現在、日本看護協会常任理事、日本訪問看護振興財団常務理事を務める著者が、患者の側に立った視点からその方向性を鋭く提言した一冊。(編集部)
「人にはそれぞれの闘い方があってよいし、いや、闘わなくてもいいのだ。その選択すらも個々人、それぞれである。けれど、こうしてがんとともに生きている方たちからの発言は、いつも教訓に満ちているということをその日もまた実感させられた。
医療者である私たちはつねに謙虚にこうべをたれて、患者さんの深い苦悩から発せられる言葉を心を開いて聴くことで使命がはたせる。その言葉が心を素通りするようではこまる。しっかり聴くことで、現場でなにができるか、自分たちのチームで不足しているのはなにか、なにを努力すべきなのかを考える。そんな作業を繰り返すことで、患者と医療者のコミュニケーションが成り立ち、医療者の役割が明確になる。」(3章「がんとともに生きる」より抜粋)
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