普段着の近隣型助け合い講座 No.2
「わかるふくしネットワーク」主宰 木原孝久
「当事者が主役」これぞ住民派!
普通、近隣の福祉活動というと、要援護のお年寄りに近隣の人たちが連携して見守りをするといったイメージを描くでしょう。つまり福祉課題を抱えた人を私たちがどう支えるか、が福祉の営みなのだと私たちは決め込んでいるのです。
ところが実際に地域住民がやっていることを丁寧に見ていくと、どうもそうではないらしいのです。長野県塩尻市でボランティアの集会が開かれたとき、地元から参加した一人が「わが家の裏隣りにおもしろいおばあちゃんが住んでいます」と言い出しました。一人暮らしのそのおばあちゃんは毎朝、近隣の家々を「おはよう、おはよう」とあいさつして回っているというのです。いったい何のためなのか。「アンタは私を病院に連れて行ってね」「アンタは散歩に連れて行ってね」と指示し、ご丁寧にも自宅に戻って大学ノートに記録している、とも(もう二冊になったらしい)。
その後、講演などで出向いた先で、同じような事例がないか、地元の関係者に尋ねてみるのですが、必ず「ああ、○○地区の△△さんがそうですよ」などと教えてもらえます。