学校ボランティア
「ふれいあい学習」からボランティアの芽を
東京都台東区立蓬莱中学校教諭 山本幸司
これは、本校の「ふれあい学習」の実践における生徒の感想文の一部です。本校では一九年前より、道徳の授業や裁量の時間としてボランティア体験学習に取り組んでいます。この活動は訪問先の方たちとの「ふれあい」を通して、さまざまな人たちに対する誤解や偏見を取り除きながら、ボランティアの芽を育てていくことをねらいとしています。そのために、名称も「ボランティア」ではなく「ふれあい学習」としています。
毎年二日間ずつ、一、二年生は一月に、三年生は進路選択をほぼ終えた三月に、五人程度のグループで福祉施設・高齢者の施設、それに養護学校など一五カ所ほどの訪問先にお邪魔しています。
この体験学習で特に重点を置いていることは「ふれあいをいかに感動的なものにするか」ということです。さまざまな感動こそが生徒を変化させ、成長させると考えています。このため、次のような工夫をしています。
1]少人数で訪問する。
2]訪問先で、さらに少人数に分かれる。
3]二日間同じ所を訪問する。
4]同じ所に三年間行ってもよい。
また、自分の感動をはっきりとつかむために、次のような取り組みをしています。
1]はっきりしたねらいを持つ。
2]自己評価をする。
3]感想文を書く。
4]発表して、体験を分かち合う。
この他にも工夫を重ねています。八人の担当教員に対して訪問先が多いため、保護者へも協力を呼びかけています。また、訪問先の方々にも参加していただき、中学生のボランティア体験学習のあり方について検討する「ふれあい学習連絡協議会」を設けています。さらに、事前、事後の指導として道徳の授業を行っています。
本校では、「ふれあい学習」の他に体験学習としてイベントボランティア、生徒会主催の「夏休みふれあい学習」でも各訪問先の方々にお世話になっていますが、まず自分たちの心を耕すことを主たるねらいとしたこれらの取り組みが、相手を思いやる真の「ボランティア」へと発展することを願って工夫改善を進めています。