2.9.8 騒音
騒音は、人に不快感を与えるほか、会話や合図等を妨害し、作業の妨げにもなると共に、聴覚機能にも影響を及ぼし、騒音性難聴の原因になる。騒音性難聴は、現代の医学を持ってしても直すことは難しいとされている。保護具を正しく着用する、聴力検査を定期的に受けるなどして予防に努めること。
2.9.9 振動
振動障害は、振動工具の振動がそれを支える手指等に局所的に伝播して、血液の循環や神経関節に影響を及ぼすことにより白くなるために、白ろう病ともいわれる。
予防するためには、1]低振動工具を選定すること。2]防振手袋をすること。3]操作時間や期間を短くすること。4]血液の循環をよくするため、防寒・保温を心掛けることなどの注意が必要である。
2.9.10 有害光線:紫外線
電気溶接のアークは、強い紫外線を発生し眼等に影響を与える。溶接作業者はもとより、溶接作業者の周りの作業者でもアークが眼に入る作業者は適切な遮光面や遮光眼鏡を着用すること。
2.9.11 暑熱
体は、汗の蒸発によって、体温の調節を行っているが、この体温の調節がうまくいかなくなると体に熱がたまり熱中症になる。熱中症といわれるものには、日射病、熱射病等がある。
日射病は、炎天下に長時間、頭部や首の後ろなどに直射日光を浴びたために循環失調を起こす障害で、体温は正常である。熱射病は、高温多湿の環境に長時間いることで、体の中に熱がたまって起きる障害で、体温の著しい上昇を伴う。命を落とすこともある。
日射病を防ぐには、帽子をかぶること、首の後ろに直射日光が当たらないように工夫をすること。熱射病を防ぐためには、高温多湿の環境に長時間いないことが一番であるが、換気をすること、冷風を送ることなど風通しの良い涼しい環境を作ることも大切である。
2.9.12 腰痛
職場における腰痛は多くの業種及び作業でみられ、職業性疾病の約70%を占めている。腰痛の発生には、作業方法や作業環境、更には作業者の年齢等の要因が複雑に絡み合っている。
これを予防するためには、次の注意が必要である。
1] 長時間の同じ姿勢を避けること。
2] 荷を取り扱うときは腰を落としてひざを曲げて荷を抱え込むようにすること。
3] 作業の向きを変えるときは腰だけをひねらず身体全体を回すなどの作業姿勢や動作に注意すること。
4] 作業前には準備体操をすること。