このとき、Ab>0なら入力電圧と帰還電圧は同相だから正帰還、Ab<0なら逆相だから負帰還である。したがってV1とV2の間には次式が成立する。

次に図3・15の帰還回路bが抵抗のみで構成される場合を考えよう。このときは利得bは明らかに正の実数で1>b>Oである。したがって増幅器の利得が正相増幅でA>Oのとき正帰還回路となり1−Ab<1だから|AF|>|A|となる。すなわち帰還増幅全体の利得はもとの増幅器より大きくなることが分かる。とくに1−Ab=0のときはAF=∞となり、これは入力が零でも出力端子には出力電圧を生ずることを意味しており発振回路として用いることができる。これが発振回路の動作原理である。
一方、増幅器の利得が逆相増幅でA<0のときは負荷帰還回路となり1−Ab>1だから|AF|<|A|となる。すなわちこの場合は帰還増幅器全体の利得はもとの増幅器の利得より小さくなるがその反面、増幅器特性の安定化及び広帯域化などの利点があり、低歪みの増幅器が必要な場合の回路構成に広く用いられている。