(1) バイアス回路
図3・2の回路において、入力信号がまだ加えられていない場合を考える。バイアス抵抗R1、R2を適当に選び、VBEが図2・23(III)のカットオフ電圧より高くなるとべ一ス電流IBが流れはじめ、同時にコレクタ電流ICが流れはじめる。このときエミッタ電圧VEはICのため、RE×IC(IBはICに比べてきわめて小さいので省略できる。)にまで上がるが、VBEがカットオフ電圧以上であれば、IBとICは流れ続け、回路は動作状態となる。このIBをべ一ス・バイアス電流と呼び、同回路のREも含めたバイアス回路を電流帰還形と呼ぶ。このほかにも固定バイアス回路、自己バイアス回路がある。
べ一ス・バイアス電流の必要性は次のように説明される。(以下、直流に重畳される交流電圧・電流は小文字で表す。)図3・3において(a)のべ一ス・バイアス電流IBのない場合,図のa]のような入力信号電圧Viが加えられたとすると,べ一ス電流iBはViがVBEのカットオフ電圧より大きくなったときだけ流れ,コレクタ電流iCもiBが流れてはじめて流れるので,それぞれ同図(a)のb],c]のようになる。