このホールには近くの結合部分の電子が容易に移動できる状態になるので、ホールがGe結晶の他の結合部分まで移動し正孔を作ることになる。この場合は電子の移動方向と反対方向に(+)の電荷を持ったホール(正孔)が自由に動き回るように見え、電流の流れやすい状態になる。このような結晶の電気伝導は正孔(Positive hole)によるので、この結晶をP形半導体と呼ぶ。
結晶をP形にする不純物のことをアクセプタといい、硼(ほう)素、アルミニュウム、ガリュウム、インジュウムなどの3個の価電子を持った物質が用いられる。
2・2 ダイオード
2・2・1 ダイオードのはたらき
図2・6(a)のようにP形半導体と、N形半導体を接合したものをPN接合ダイオードと呼んでいる。P形にはホールが、N形には電子が、電流を流す担い手(キャリア)としてそれぞれ存在している。P形とN形半導体は、それらが独立している場合には、電気的に中性であるが、接合されると接合面で電子がN形からP形のほうへ、ホールを埋めようとして移動する。