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図4・25 ミキサの等価回路

 

4・5・3 マイクロ波集積回路(MIC)

物標からの弱い反射波を受信して、これを信号として検出する場合、もし雑音がなければ、どのように小さな受信信号であっても、これを増幅して検出することができる。そして、この雑音は、空中線から信号と一緒に入ってくる外部雑音と、受信機そのもので発生する内部雑音とに分けることができる。したがって、受信機の性能は大略その内部雑音の大きさで決まり、一般的には、入力端と出力端のそれぞれの信号対雑音比(S/N比)を比べ、その比率〔ノイズ・フィギュア(NF)〕の大きさで表している。

レーダーの場合も、その最小受信信号(Smin)は雑音の大きさに比例しているので、最大探知距離を大きくするためには受信機の信号対雑音比(S/N比)を大きくすればよいことになる。ただ、レーダーで使われているマイクロ波の領域では外部雑音は非常に小さくて、雑音のほとんどが周波数変換器(混合器)に使用されているミキサーダイオードの熱じょう乱による内部雑音である。そこで、このミキサーダイオードを改善すればS/N比がよくなるわけであるが、それにも限度があるので、この周波数変換器の前に雑音の小さい高周波増幅器をもう一段付け加え、総合的にNFを上げることを考える必要がある。

ところが、数年前までは、レーダーのような高周波領域で使える、雑音の小さい、信頼性の高い、価格も適当な、高周波増幅器に適した半導体素子は存在せず、Sバンドのような周波数の低いレーダーを除いては、マイクロ波帯の高周波増幅器は採用されていなかった。しかし、近年になってガリウム砒素FETが開発され、Xバンド用として、信頼性や価格についても船舶用のレーダーの使用に耐えられるようになった。

 

 

 

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