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陽極の各空洞に共振が生じると、各空胴の入口のところには、共振周波数で振動をする図3・4に点線で示したような高周波電界ができているので、ある電子はそこで加速され、ある電子は逆に減速をされる。こうして、一部の電子が陰極の近くに戻ったり、陽極に吸収されたりしながら、加速された電子が固まっていく傾向を生じ、もし、電界と磁界の強さが適当なら結果的には図3・4に影で示したような形に集まった電子束が、高周波電界の振動に同期して矢印の方向に回転をするようになる。

 

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図3・4  空胴マグネトロン内の電子の運動

 

このような電子束の回転は、各空胴共振器に振動エネルギーを供給し、いつまでも振動が持続することになる。このようなマイクロ波の振動は、図3・3に示すように、一つの空胴共振器から出力用のループによって外に取り出される。

代表的なマグネトロン2J42Aの特性は次のようなものである。

・陰極 傍熱形

ヒーター電圧   6.3 V

ヒーター電流   0.52A

予熱時間     2分間以上

・周波数        9375±30MHz

・パルス出力      17 kW以上

・パルス陽極電流    8 A

電圧      7.6 kV

入力     61 kW

・陽極温度       120 ℃

・パルス幅       2μsec

 

3・2 クライストロン

 

クライストロンは、航海用レーダーの受信機の局部発信器に使用されているが、最近はマイクロ波用半導体のガンダイオードに置き換えられつつある。クライストロンは速度変調管とも呼ばれ、直進形と反射形の二種類がある。

 

 

 

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