このときは、送受信機のケースから出たところに方向性結合器を装備すればよい。ただ、この場合は、天井とケースとの間に適当な空間が必要となるので、その寸法等については、レーダーメーカーと相談して決めた方がよい。なお、方向性結合器が付いていない場合でも、点検保守のために、天井とケースの間は中形ドライバーが入るぐらいは、空けておく必要がある。
(4) サービススペース
各レーダーの工事用図面に指示されているサービススペースは、保守のために必要なものであるから、極力これに協力すること。前項でも述べたが、ケースが天井に寄り過ぎているのは、導波管を点検するときのことや、通風のことを考えると好ましくない。できれば 300mm程度は空けたい。
(5) 磁気コンパスへの影響
送受信部は、強磁界であるマグネトロンを持っているので、磁気コンパスへの影響も大きく、したがって、安全距離もまた大きい。設置完了後に、磁気コンパスの自差修正をする。
(6) 無線機器などへの影響
レーダーの構成ユニットの中で、送受信部が最も無線雑音を出す。したがって、各レーダーメーカーとも十分対策を行っている。しかし、万一のことを考えて、表示部、送受信部及び空中線部間等の接続ケーブルは、無線機器相互接続ケーブルと、極力別系統にする。また、無線機器の近くを通過させないようにする必要がある。
2・3・4 電源部
(1) 取付け場所の選定
(a) 電源部は発熱するものなので、熱のこもらない場所か、むしろ空気の流通のあるところに設置した方がよい。したがって、発熱の大きな装置の近くや、熱のこもる場所、納戸の中などは避けるべきである。このためには、電源部の発熱量がどの程度あるのかを、あらかじめ知っていると場所も考えやすい。
(b) 回転形あるいは静止形のインバータは、いずれも大きさに違いはあるが、可聴音を発するので、操舵室や居住区近くには置かない方がよい。
(c) 回転形では回転軸がキールラインに平行になるように装備するのがよい。
(d) サービススペース、放熱への注意
電源部は、船内電源が不安定な場合でも、これをレーダー用の安定な電源に換えるために常時電力を消費し、熱を出している(直列安定化電源の場合)ので相当に熱いのが普通である。したがって、放熱スペースや空気の流通についての配慮が必要である。