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図7・15 ヘリカル空中線

 

7・5・5 電磁ホーンとパラボラ空中線

導波管の先端を図7・16のようにラッパ状に開いたものを電磁ホーン又は電磁ラッパという。方形導波管がTE10モードで励振されているときに、その管を切り取ったとすると、管内の電波は、その切り口から外へ放射するが、この場合には、導波管の中と外の空間とではインピーダンスが大きく異なるので、導波管内を伝わってきた電波のかなりの部分が切断面で反射をしてしまう。電磁ホーンは、そのような導波管内のインピーダンスを徐々に空間のものに近づける役を果たしているので、その開口の傾斜はできるだけなだらかにする必要があり、また、その開口を大きくするほど、空中線としての指向性を鋭くすることができる。電磁ホーンは船舶ではマイクロ波ビーコン用の受信機に使用されているほか、次に述べるパラボラ空中線への給電用にも、使用されることがある。

光のビームを絞って、遠方を照射する探照灯にパラボラ反射鏡を使うのと同じように、マイクロ波のような波長の短い電波をパラボラ反射鏡に当てると、電波のビームを絞って指向性を鋭くすることができる。光の反射鏡にはガラス製の鏡を使用するが、電波の場合は金属面を使い、場合によっては金網でも反射鏡の役をすることができる。このようなパラボラ形の反射鏡を使う空中線を通常パラボラ空中線と呼び、衛星通信などによく使用される。船舶用のレーダーでも古くは、このパラボラ空中線が多く使用されていたが、最近は次に述べるスロット空中線に代わってきている。

航海用レーダーの場合は水平方向は鋭いビームで、垂直方向は25°ほどのある程度広いビームを必要とするところから、パラボラ空中線の場合には図7・17に示すように、水平方向にはパラボラであるが、垂直方向は直線か非常に曲率の少ないパラボラのものが使用されている。

 

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図7・16 電磁ホーン

 

 

 

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