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7・3 電波の偏波

 

真空中又は空気中を伝わっていく電波は横波であって、電界と磁界とは進行方向に直角の方向にのみ存在し、進行方向には生じない。これは3・4節の同軸線路のところで述べたのと同じモードであり、電界の面が大地に水平な場合を水平偏波、電界が大地に対して垂直な場合を垂直偏波という。更に、水平偏波と垂直偏波を同じ位相で混ぜた場合には傾きのある偏波が得られるが、このような偏波を水平、垂直なものを含めて直線偏波といい、電波が進んでもその偏波面の方向(傾き)は変わらない。

これに対して、水平と垂直の両偏波の位相をずらせて混ぜ合わせると、電波の進行とともに偏波面が回転する現象を生ずる。このような電波を円偏波と呼び、混ぜ合わせる電波の強さが異なるときはだ円偏波となる。この円偏波(だ円偏波)は右回り又は左回りの回転をするが、それぞれを右旋円偏波、左旋円偏波と呼んでいる。これらのそれぞれの状態については図7・2を参照されたい。

これらの偏波は、送信空中線の向きによって希望する偏波を発生させることができ、例えば、水平の空中線では磁界が垂直に、電界が水平になるから水平偏波が送信され、水平偏波は水平の空中線でのみ受信できる。また、円偏波の送信や受信には、それぞれ特殊な空中線を使用するか又は空中線を出たところで波面を回転させるような装置を取り付ける。その代表例はら線状の空中線で、ら線の巻き方によって右旋でも左旋でも自由に作り出すことができる。

この円偏波を利用すると雨滴の反射を軽減することができる。なお、この装置の詳しいことに関しては、機器保守整備編の第5章の5・4 節を参照されたい。

 

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