6・4・2 TTLを使用するときの注意事項
(1) 電源電圧(Vcc)
54シリーズの各ファミリの電源電圧は常に5±0.5V、74シリーズの各ファミリの電源電圧は、5±0.25V以内に保たなければならない。特に他の回路とのデカップリングのためなどで電源ラインにフィルタを入れるとき、チョークコイルによる電圧降下を十分検討しなければならない。電源電圧の規格はICの電源端子での電圧であることを忘れがちである。
ブロック試験などで外部電源を使用するときには、あらかじめ電源電圧及び極性をチェックしてから使った方がよい。電源電圧を誤ったために一枚のPC板に使っているTTLのすべてを破壊した例もある。
(2) 温度範囲
54シリーズの各ファミリの温度範囲は、-55℃〜+125℃、74シリーズでは0℃〜+70℃で動作特性を保証している。この温度はICを動作させる部分の周囲温度であり、機器の周囲温度ではない。そのため周囲に発熱の大きなものがあるときは、通風の悪い部分で使用するものには対策が必要となる。
設計の段階であれば、ICを取付けるPC(Printed Circuit)板のICの下に幅の広いストリップラインを2本通す方法がある。1本は電源で、あとの1本はアースラインであるが、ICの電源とアースのピンを介してこのストリップラインを放熱板として利用する方法である。更に積極的に電源ラインを放熱に利用するには、PC板用のブス・バーを用いるとよい。
また、IC自身の発熱による他の回路への影響も考えられるので、部品配置には十分な配慮が必要である。