導波管の接合部は普通は図3・10に示すようなフランジを付けてねじ止めをする。この透き間から管内に水分や湿った空気が入らないように、ゴムやパッキンのリングを入れる。接合部での接触が悪いと、導波管のその部分にインピーダンスの不整合が生じるので、チョーク接合と称する方法がとられている。これは図でカバーフランジのある側のフランジは平面(フラットフランジ)であるが、チョークフランジ側はその接合部の断面が図に示すように、1/4波長ずつの寸法で溝が切られ、全部の奥行が1/2波長になるような構造となっている。この半波長の長さのABCの透き間には波がのるが、A点で短絡をされているので、その中間のB点は電流の谷(電圧の山)となって、そこに若干の接触不良があっても影響がなく、C点で完全に接触が保たれているのと等価の接合になる。フランジの溝の部分の構造は方形の導波管に対して円形となっているが、図に示すように電界の最も強い長辺の中心でのBC間が1/4波長になるように選んである。
導波管の分岐回路はレーダーでは、送信機からの出力と受信機への入力を分けるのに使用されているが、その一例として、図3・11に示すT形の分岐があり、この場合、分岐が電界面に平行にでるE分岐と、磁界面に平行にでるH分岐があり、レーダーでは多くは後者が使用されている。この両分岐の等価回路も同じ図に示すとおりで、E分岐は直列分岐、H分岐は並列分岐となる。
導波管の接合には、また、図3・12に示すように導波管を二つ並べて接合したものがある。これは、図3・12に示すように接合管壁は使用電波の波長λgの1/4の距離を離した結合穴AとBで連絡をしてある。いま、図の矢印の方向に導波管の中に電波を伝わらせたとする。こうすると結合穴Aを通って隣の導波管に漏れた電波は、その導波管の両方の方向に伝搬をする。しかし、この穴からλg/4離れた穴Bからも電波が漏れて、この隣の導波管を伝わる。このとき、同図の下のように隣の導波管を右の方向に伝わる波は、穴Aと穴Bからもれてきた分の伝搬するそれぞれの径路長は同じであるから、位相的に同じであり、二つの波が加わった形で右側に進む。一方、穴Aから入って左側に進む波には穴Bから入って左側に進む波が加わる。しかし、この二つの波は伝搬の径路長が(λg/4)×2=λg/2だけ異なっており、位相的に半波長異なるので、この二つの穴から入ってくる波のエネルギーが等しければ、A点で合成したときには互に打ち消し合って、結果的に、左側には電波は伝わらないことになる。また一方、逆に右から左に主導波管を伝わる波は、下側の導波管では左側にのみ伝わるようになる。このような導波管の結合器を方向性結合器と呼ぶ。ただし、この結合器は、結合穴の間隔の4倍に等しい波長の電波にのみ有効であることに注意する必要がある。