(2) 始動法
電源電圧が定の場合、直流電動機の始動には始動抵抗を挿入するが、式2.3にて示すように、回転速度が上昇するにしたがって電機子逆起電力nkφが大きくなるので、電機子電流Iaは低下を来たすが、始動抵抗を一度に短絡して回路から取去ると、次の瞬間に過大電流が流れるので、適当な段数で階段的に始動抵抗を短絡する方法が行われる。この始動抵抗の挿入と階段的短絡の動作を手動で行う装置を手動始動器、継電器の助けにより自動的に行う装置を自動始動器という。
自動始動器は始動抵抗器の階段的短絡の動作の元になる信号の与え方又は信号のとり方によって相違し、次の方式に分けられる。
(a) 限時形自勒始動器
タイムリレー(限時継電器)により予め定められた時間ごとに順次電磁接触器を投入するもので、一定負荷又は一定時間で始動するのに適し、一般に広く用いられている。
(b) 限流形自動始動器
主回路電流によって動作するリレーを設け、始動電流が規定値以下になった時次段の電磁接触器を投入するもので、重負荷又は変動負荷で始動するのに適している。
(c) 逆起電力形自動始動器
電動機が加速するにつれて、その逆起電力が増加するので、この電圧に応動するリレーを介して電磁接触器を順次投入していくもので、装置が簡単なのでよく用いられる。
図2.126は逆起電力形自動始動器の簡略結線を示すもので、電動機が加速して逆起電力が上昇するに従って加速接触器1A、2A、3Aのコイル1、2、3が順次作動して始動抵抗を段階的に短絡する。