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図2.94 サイリスタによる三相半波整流回路における転流過程

 

整流回路で転流が行われる場合の整流素子間の電流の移り替りの時間的変化は電源側の整流器用変圧器及び発電機の回路に含まれるインダクタンスによって影響を受け、この電源インダクタンス(この2πf倍を転流リアクタンスと称す。)があると図2.94に示すように、整流素子の受け取る電流は瞬間的に変わるのではなく、ある有限の時間をかけて移り替る。これは整流素子の接続されている回路に含まれるインダクタンスが電流の瞬間的な変化を妨げるからである。図2.94はサイリスタによる三相半波整流回路において、位相制御角を60゜にした場合の転流の様相を示したもので、この回路では負荷電流を平滑とするために平滑インダクタンスLdが挿入されている。U1相にあるサイリスタS1が導通しており、ある制御位相角において次の相のアームにあるサイリスタS2が点弧されると、変圧器は転流期間中二相短絡となり、ある有限の時間中2つの相のサイリスタが閉じた接点と同じ働きをする。この短絡現象に伴ってU2相の立上がる電流はサイリスタS1を流れるi1を打ち消し、次のアームのサイリスタS2の電流i2を形成する。この2つの電流の和i1+i2は平滑インダクタンスのために常に一定の値Idを保つ。

 

 

 

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