図2・17(a)のように鉄心のまわりにコイルを巻き、これに電流を流せば鉄心は磁化され、電磁石となることは、2・3・4ですでに述べた。ところで、この電流を増してゆけば電磁石すなわち磁束密度B〔Wb/m2〕はどこまでも増してゆくかといえばそのようにはゆかないで図2・17(b)のような曲線を描いて、ある限度をこせば磁束密度はほとんど増加しない。そこで図2・17(b)のような曲線を磁化曲線といい、磁束密度の増加しないような現象の現われを磁気飽和という。また、図2・17(b)に示した曲線即ちB-H曲線を飽和曲線ともいう。
2・6・2 ヒステリシスループ・ヒステリシス損
一度も磁化されていない鉄心について磁化を増してゆく場合と減らしてゆく場合とでは、磁束密度が同一でなく同一の経路をたどらないことが実験上確められる。これを図2・18について説明すれば、先づ0点から次第にHを増しa点に(H最大)、a点からHを減じてb点に、さらに-Hにしてc点に、さらに減じてd点に(-H最大)達する。これよりHを増していってHが零のときe点に、さらにHを増してf点に、そして最後にa点に戻る。このようにしてみると、図2・18にみるようにBとHとの曲線は同一経路をたどらないで一つのループを形成する。これをヒステリシスループという。