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審判の請求を却下してしまうと再請求ができなくなるので取り下げてほしい、というものだった。どうやら、日本はよくよく国籍を出したくないものらしい、と感じた。母親がタイ人だとしても、それは手紙だけで、きちんと証明するものはない。行方知れずなのだから、タイ政府だって困るはずだ。

平成10年5月から7月にかけて、大使館の請求する書類を作成し、英文に翻訳し、公証人証明をとって、さらに法務省の確認をとって提出。母親の手紙なども訳し、資料は大部になった。そして、8月末にやっと「3日後にタイ国籍を発行する」というところまでこぎつけた。

正直に言って、書類作りは大変だった。翻訳は友人の紹介で安くやってもらった。公証人役場では、どの書類とどの書類を公証人証明すればいいのか。1件1万5千円だったと思うが、何件にもわたれば費用も馬鹿にならない。ここでも友人が公証人と知り合いだったので、1案件として処理してもらった。法務省は1度書類を預けて、翌日また取りに行くという方法。これが地方の人だったらどうなるんだろう、と思った。

 

 

 

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