I 里親委託に関するケース事例
一、里親委託について
埼玉県児童相談所 児童福祉司 S.O.
児童相談所で仕事をして、20年になります。最近は、虐待相談が時間的にも精神的にも一番大変になっていますが、これまでは児童相談所の仕事のなかで一番苦労が多く、また一番やりがいのある仕事は里親委託の仕事だと考えてきました。
里親委託は里親調査、委託する子どもの調査、実親との調整、里親候補の選びだし、里親さんへの紹介、お見合い、施設との調整、委託までのフォロー、見極め、正式委託、委託後のフォローと大変な時間とエネルギーを必要とします。子どもを受託した里親さんは福祉司が苦労したことの何十倍もの苦労と喜びを手にいれることができ、そして福祉司は、子どもの成長した姿や里親さんの頑張りに接してあらたなエネルギーをもらうことができてきたというのが私の実感です。
私が初めて委託した子どもは、虐待を受けた子どもで、知的にもボーダーで、体格も標準よりもずっと下まわっていました。里親さんは、すでに養育経験があり、大変暖かい人柄で、この方たちだったら育てていただけるだろうとお願いしました。