「本気で愛されて」
大村市 原田広志
始めて父母に出会ってから14年余が過ぎました。その当時の事は分かりませんが、三才の誕生日の時に父母の所に来たそうです。今度体験発表するよう父に言われて驚きました。何をどう話せばよいのか、僕が一番苦手な文章を書く事だからです。その時、母から一冊の日誌を手渡され、目を通していくうちにその過ぎし日が思い出され、14年の歩いた道を振り返るといろんな事が懐かしく蘇りました。
家に来た頃の僕は上手に歩けず、バランスを崩しては転び、いたる所に生傷が絶えなかったそうです。股関節脱臼の為ベルトを付けた生活で、丁度それがとれたところでバランスがとれない原因でもありました。毎日歩く練習を続けて、少しづつ転ぶ回数が少なくなり保育園に行けるようになりました。三年間の保育園の思い出は、運動会の駆けっこがいつも遅くて一番の子がとても羨しくて僕も早く走るようになりたいとそんな夢がありました。行動が鈍感で迷惑をかける事が多かった園生活の中で、絵を描く事が大好きで、作品を出品して賞を貰った事が唯一の嬉しい思い出になりました。
小学校に入学してからは足も丈夫になり、ランドセルを草むらに放り出して友達の家に遊びに行くのが多くなり、ある時は、遊びに熱中して帰る時間も忘れ、暗くなって家に帰ると、兄や姉が帰りの遅い僕を心配して捜していてくれたのに、御免なさいをなかなかいえず心配かける事が多かった事を日記で知りました。又、小学校五年生の時に、先生と僕と母の三人で日記交換をする約束をしました。その日に学校でかぶとがにの事件を起こして反省文を書く事になりました。それは学校帰りに、二年生の部屋でかぶとがにを見つけ、友達と見ていると突然「匂いを嗅げ」と友達に言われて「嫌だ」と断わると、撃つ真似をしたので匂いを嗅ごうと思って近づくと蛆虫が沢山ついていたので「M君蛆虫が付いているよ」と後ずさりする事に、それでも「嗅ぐのだ」と言われてかぶとがにを割ってしまった。その時、先生に見つかり職員室に呼ばれ「何で割ったのか」と聞かれて、始めは「割っていません」と嘘をつきました。M君は「僕は見とったぞ」と先生に言ったので、本当はかぶとがにの蛆虫を殺すつもりでバットで叩いたのですが、後で紙で取ればよかったのになあと後悔しました。先生は皆に僕の反省文を読んで「これでよいか」と聞かれ、友達も許してくれました。二年生の教室に行き、悪かったと思ったので謝りました。女の子が「もういいよ」と言ってくれたのでその時は本当に嬉しかった。