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図4]林立する風水装置

林立するというのは、大げさかもしれないが、狭い範囲に風水照壁が一つ、風水楼が二つ見られる

 

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図5]風水楼

 

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図6]風水先生H氏の描いた風水楼の設計図

風水楼の両脇に置かれるべき方位と、高さの寸法が書き込まれている。寸法も吉数になるように考えられる

 

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図7]風水楼と正楼が並ぶ屋根

 

瓶と箸には、「平平安安的瓶、快発財的箸」(平安の瓶、早くお金持ちになる箸)と言う説明がされる。これは、平安の平と瓶の発音、快発財の快と箸の発音が同じであるのを利用した語呂合わせで、平安と経済的な成功を祈願したものである。また原則的に、瓶は黒く、箸は赤いものの組み合わせが正しいとされている。これ以外の様々な品については、鬼が嫌うものであると言われている。つまり、風水楼には、家内安全の祈願と鬼避けの意味も込められているのだ。

ごく少数だが、正の字を彫りつけた磚が入れられて、正楼と呼ばれるものもある。北向きの敷地に建つ住宅で、正房の屋根上の東南には風水楼が、中軸線上には正楼が設置されているケースがあった。ここに住む老婦人によれば「風水楼を置くのは、風水を良くするため。正楼を置くのは子どもたちが正しく育つように」「おかげで、一家みんな幸せだし、六人の子どももいい子ばかり。」家族ばかりか飼い猫の健康も風水楼と正楼のおかげだという。(図7])

また、風水楼に類似するものに、店舗の屋根上に置かれる壺がある。店主に尋ねると、「これも風水楼の一種だ。あ、ちがうかな」とあやふやだったが、なんのために置くのか聞いたところ「良い気を壺に受けて、財運が良くなるように」という説明がされた。住宅の風水楼が鬼避けであるのと対照的である。ただし「以前は、店舗には風水楼はつけられなかった」とのことである。

◎風水照壁(図8])………風水照壁、あるいは客照壁とも呼ばれる。北京などの他地方で大門の突き当たりに設置される照壁と同様、磚で作った幅約二メートル、奥行き約四〇センチ、高さ二・五メートルほどの壁状のもの。これは、形態的に大きく四つに分類できる。a・単なる壁状のもの、b・磚の積み方で、レース状の模様をもつもの、c・壁に祠状の空間の開けてあるもの、d・bとcの要素をあわせもつもの、がある。

一般の照壁の役割は、悪い気を跳ね返すことであると言われることから、風水照壁も同様の機能を持つと考えられる。しかし、bとdは、レース状に穴が開いているので、この役割は果たせないとも思えるが、bの中には、中央に八卦の模様の彫刻があるものがあり、これが悪い気を跳ね返す作用をしているとも考えられる。また、cは、祠状の物に風水楼と同様のものが納められているため、鬼避けと家内安全の祈願をこれに負わせていると考えられる。

 

 

 

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