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[連載]平遥山西省の住まいと文化2]住まいをまもる吉祥装置……田村廣子

 

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図1]住宅の空間配置(天津大学建築系作図)

 

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図2]筆者の食事の風景

筆者から向かって左に主人が、右にその妻が座っている。この世代の女性は、もう厨房には立たずに、嫁たちが給仕をしてくれる。このあとから息子が来て主人のとなりに座った

 

客のいる食事の風景でいうならば、最上位の客は奥、その家の主人は左、その息子が右に位置を占め、家族成員間の序列上、下位にあたる女性が客の前に座ることも、この秩序にのっとったものである。日常的な住まいの空間においても、家族成員やまつられる神々の間に存在する序列が、それぞれの居場所を決定している。そして、その場所をかたちづくる建築空間も、方位にもとづく秩序によって形態を規定されている。

こうした秩序を遵守した住宅は、家族に平安をもたらし、逆にこれに反することは、災いを呼ぶと考えられている。そして、平遥では建築に付随して、信仰や風水に関係する様々な装置が設置されている。これらの装置は、住空間の秩序を維持したり、秩序に反した住宅を補助したりしている。今回は、以上のような方位にもとづく住空間の秩序と、それを維持あるいは補助する装置を中心に、平遥の住まいを考えてみたい。

 

 

 

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