はじめに
長崎県大村市は、県内でも山・海・平野を持つ多彩な自然に恵まれた地域であり、交通の要衝として歴史の舞台に登場す。すなわち、キリシタン大名大村純忠による西洋との交流、300年にわたる大村班城下町の時代、近代には軍都として栄え、戦後は長崎空港が置かれ、ますます交通の拠点としての性格を強めている。
本調査で対象とした玖島城祉及び城下町武家屋敷街跡は、偉人を多く輩出した大村藩の時代に形成された。大村藩時代の遺構として、武家屋敷地区には国指定名勝の旧円融寺庭園や市指定文化財の楠本正隆屋敷など文化財に指定されているものも多い。しかし、それ以外の武家屋敷などについては未調査で、今回の調査により、現在でも道路や地割などがよく残されていることがあきらかとなった。
さらに、大村市には長崎街道の宿場町として栄えた町人町があり、こちらは現在は市の中心市街地となっている。こちらはさらに調査がまたれており、大村市としては、本調査の成果を今後の歴史をいかしたまちづくりの貴重な資料としたいとしている。
本調査は、観光資源保護調査として、昭和46年(1971)より、全国の貴重な自然や文化財などを対象とし、観光資源の保全・活用の提言を行うものである。
最後になりましたが、調査にあたっては、大村市の市民の皆さんをはじめ、大村市役所、関係者の皆さんに大変お世話になった。記してお礼を申し上げます。
平成12年3月
社団法人日本観光協会