2. 二丈町における観光関連施設の現況
1] 宿泊施設
現在の二丈町の宿泊施設としては、地元の観光旅館が6軒とキャンプ場のバンガロー、研修棟などである。その他に、海の家で宿泊可能な所もあるが、基本的には民宿は存在しない。二丈町における観光客向けの宿泊施設というのは、現在ではあまり活気があるとは言えない。昭和40年頃の宿泊施設と比較すると、当時は観光旅館だけで10軒を数えることができた。数量的な比較をしてみると、当時は部屋数約95、収容人数約400〜1470人であったのが、現在では部屋数約95、収容人数は505人である。建物の老朽化が進んでいるところも目に付く。これは日本全体における観光旅行の需要形態の変化に伴うものであると考えられる。飛行機を利用した旅行の一般化や、高速道路などの交通網の発達、北海道、沖縄、海外などの遠方地志向、それに拍車をかけるツアー料金の価格破壊など様々な時代の変化の結果であると考えられる。今後もますます、バイパスや有料道路の開通により日帰りが容易になったり、またさらに遠方地へ目指す観光客の通過点となってしまう危険性があると言えるだろう。
しかし一方で二丈町内の宿泊施設でも、改装をしたり、新たな需要形態へ対応させたりという変化も見られる。都市近郊の観光地の宿泊産業としては、距離の近さを有効に活用し、都市では得ることの難しい、自然環境や人の温かみなどの魅力を得ることの出来る、いわゆる人間性向上の場という空間を演出していく必要があると考えられる。
2] 海の家
二丈町の海の家は、現在全部で8軒営業している。かつては姉子の浜でも営業していたが、現在はなくなっている。旅館が海の家として、施設を利用してサービスを行っている場合もいくつかみられる。基本的なサービス内容としては、駐車スペースの提供、シャワー、休憩場所の提供などである。他に比較的多く見られるのは、バーベキュー道具の貸し出し、軽食の提供などがある。また中には、お風呂や地引き網、宿泊などが可能なところもあり、ボートの貸し出しや、ウェイクボード、ジェットスキーなどが行えるところもある。
しかし、近年利用者の数が減少傾向にある。その考えられる要因として、レクリエーション目的地の増加による観光客の分散化、レクリエーション形態における志向の変化、また観光客自身による持ち込みの増加から海の家のような施設の必要性が低下しているということなどである。これらはいずれも、モータリゼーションの弊害でもあると言えるだろう。他には、その年によって冷夏や多雨などが原因で減少することもある。