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1-3 姉子の浜の鳴き砂の保全の意義

 

(1) 姉子の浜の地形景観分析

現在の姉子の浜の現状を、地形景観を構成する要素を抽出することによって把握する。その方法としては、姉子の浜の現在の航空写真と、現地で撮影した各地点での写真を用いて、景観構成要素の確認を行う。またいくつかの地点で、汀線の法線方向に地形を切り、断面図にて高低差の様子や景観要素の特徴を表した模式図を作成して、表現手段とする。

また次に、姉子の浜がより自然な状態に近かったと思われる時期の姿を復元する。これは現状の姉子の浜の状態が、鳴き砂を生み出した原型の砂浜の地形景観と、いかに異なっているかを明らかにする事を目的とする。言い換えれば、現状の改変された地形景観において、今後鳴き砂の浜であることを維持していくための方策を考察する際に、参考となることを望むものである。

この原型景観の復元方法としては、地元住民の人々への聞き取り調査を軸にして、過去の航空写真や開発に関する資料などを元にして行う。これは国土地理院によって管理されているこの地域の航空写真が、最古のもので1948年(昭和23年)の米軍によるものまでしか存在していないこと。また、姉子の浜が自然の状態に近いと思われる時期が、戦前頃まで(昭和16年以前)であること。現地のこの時期の写真が、地元の人たちも撮影した記憶がなく、手に入らなかったこと。などの事情から、地元の人の記憶を頼りにすることとなった。

また、現状の地形景観、原型の地形景観ともに、コンピュータによる三次元CGを用いた視覚的な表現を行う。これは地元の住民の人たちが、姉子の浜の鳴き砂の保全・活用を行う場合に、その明確な目標像のイメージを持つことができる支援の素材として有効であると考える。

 

1. 現況の姉子の浜の地形景観分析(図1-10参照)

1] ホテル跡

「串崎ケープホテル」の廃墟が残っている。ホテルの建物だけでなく、プールや前庭、植え込みなどが、当時のそのままの状態で風化しつつ残っている。

 

033-1.gif

ホテル廃墟を西端から

 

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ホテル廃墟を正面から

 

 

 

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