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(2) 玄海国定公園の地形景観の特性

日本海玄界灘に面している、北部九州地域の海岸線沿いは「玄海国定公園」に指定されており、白砂青松の景観が続いている。近海は遠浅で底質が砂である地域が多く、晴れた日は美しいエメラルドグリーンに近似した色の海を望むことができる。

遠賀川西岸から福岡市の志賀島まで続く海岸線と、福岡市西部から唐津市に至る海岸線沿いには、砂浜と磯が連続して続いており、砂浜の内陸側には松林が現在でも豊富に残されている。中には松原と呼ばれるような広い松林が残されている地域も数力所みられ、そのいくつかはそこを利用したレクリエーションなども行われている。またこれらの海岸線沿いには、国道や県道等が整備されており、それぞれの場所までのアクセス手段はマイカーが主流となっている。他の地域と比較した全体的な印象としては、重化学工業的な臨海開発にほとんどさらされることなく、比較的自然の海岸線が残っている地域であると言えるだろう。その残された自然海岸の恩恵の享受法として多く見られるのは、海岸線に対して砂浜の占める割合も大きいことから都市民による海水浴やサーフィン、また主に磯における釣りなどのレクリエーションであると言える。

次に、砂浜の形状に関して言えば、たいていは弓状をしていることが分かる。そして特徴的に見られるのは、弓状である砂浜の端の部分において、何らかの人間による利用が行われている例が多いことである。例えば、漁港などの港が設置されていたり、海水浴場のための施設が設置されている例などが多く見られる。他には、隣接して集落が形成されており、防波堤など人工護岸がなされている例も見られる。

そして砂自体に関して見られる特徴的な現象は、いくつかの砂浜において海水浴場としての利用する際に、波によって浸食された砂を取り戻すために近くの砂浜から砂を入れている所が見られる。またコンクリートの骨材として利用するために建設業者によって砂取りが行われている砂浜もみられる。

 

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図1-3 北部九州砂浜・松林分布図

 

 

 

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