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はじめに

 

鳴き砂は現代において、希少性が高く、またその価値付けに関しても様々である。例えば砂が鳴くという珍しさからくる魅力を持つという価値や、環境汚染への脆弱さから自然環境の健全性のバロメータとしての価値、親水空間を演出する素材としての価値などがある。また近年は、鳴き砂の海岸が残っている地域同士の交流へと発展している例や、保全活動を通じたコミュニティ形成に役立っている例、また環境教育の題材として扱われたりしている例などがある。このような各地の鳴き砂への取り組みの中、福岡県二丈町姉子の浜においても、平成5年頃の鳴き砂復活を契機とし、地域資源として保全、活用したいという気運が高まってきた。その先駆けとして今回の調査が企画された。その調査内容は、1]鳴き砂をめぐる環境の把握、2]海岸景観の原型と変容の把握、3]人の活動と鳴き砂の浜との関係性の把握、という3つの枠組みによって調査・分析を行い、今後の姉子の浜における保全、活用の方策を探るための指針となることを目的とするものである。

 

 

 

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