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またケラ・セルジャン村で全検査を受診した人達を比較すると、健康手帳保有者の陽性率は87.7%で初診者の陽性率95.3%よりも低率であった。4年間の検診・治療の空白があるにも拘わらずこのように寄生虫感染者が低下しているのはこれまでに実施した衛生教育が役立っているものと思われる。一方バンザ村でも健康手帳保有者の陽性率は88.6%で初診者の陽性率96.8%よりも低率であって、過去に検診を受けた人達ではその効果が認められている。

以上のごとく4年振りに実施したケラ・セルジャン村を始めバンザ村およぴウワンゴ診療所でも寄生虫の陽性率が増加せず、むしろ減少傾向が認められるのは、住民に対する衛生教育とともにこれまで現地の検査技師に検査技術の移転を行った成果の賜物であると思われる。このように現地の看護士および検査技師が独自に寄生虫の検査、診断が出来るようになり、また衛生士が衛生教育の手法を会得したのは継続されている笹川記念保健協力財団の寄生虫対策調査が徐々にではあるが効果を現わしているからだと判断される。

今回の調査でも例年のごとく遠心器、顕微鏡、注射器、スライドグラスなどの検査器材およびプラジカンテルやコンバントリンなどの薬剤など47品目の供与を行ったが、大統領府のザフィオ医務官を通じてパタセ大統領から感謝の意が伝えられ、また直接話合いをした保健大臣や保健省幹部、現地住民の人々から笹川記念保健協力財団に対し、深い感謝の意が伝えられた。なお川合大使を始め日本大使館の飯沢書記官、黒沢医務官などからも感謝されたことをご報告したい。

 

【調査団の構成】

 

団長 辻守康(杏林大学医学部熱帯病・寄生虫学教授)

団員 下田健治(川崎医療短期大学部助教授)

団員 冨永健(広島県福祉保健部環境衛生課主任技師)

 

【調査日程】

 

1999年7月8日(木)

辻、下田、冨永の3名は22時10分AF273便で成田発。

9日(金)

04時20分パリ着。下田、冨永はパリのホテルヘ。辻は07時55分パリ発でジュネーブヘ。09時00分ジュネーブ着。直接WHOを訪問して10時00分より畠先生のアレンジにより午前中はTDRのDr. Berquest、Dr. Morel、Dr. Modabberと面会、アフリカ問題について打ち合わせ。午後はCTDのDr. Engels、Dr. Chitsuloと住血吸虫症と消化器寄生虫症について打ち合わせ。16時40分ジュネーブ発、17時55分パリ着。18時40分ホテル着。下田、冨永団員と合流。20時に中央アフリカ共和国のヤヤ医師にホテルより電話連絡。パリ泊。

 

 

 

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