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(2) 以上は輸入金額から輸入先を国別にみたが、大豆・小麦について、輸入重量から輸入先を国別にみると、大豆はアメリカ(76.9%)、ブラジル(11.1%)から、小麦はアメリカ(54.4%)、カナダ(25.3%)、オーストラリア(20.3%)からとなっている。

(3) 品目分類が上記の「食料」と異なるが、97年の農産物合計の世界輸入(EU域内間の輸入を除く)に占める日本の輸入は11.4%、EU(同)が18.4%、アメリカが12.3%、中国が4.8%などとなっている。また、日本は農産物輸入が多く輸出が少ないことから、農産物の純輸入額(輸入-輸出)を比べると、日本は366億ドルで世界一の純輸入大国で、ドイツの倍以上である。(FAO統計)。

農林水産省によれば、日本の輸入農産物の生産のためには1200万ヘクタールの耕地面積(国内耕地面積の2.5倍)が必要と計算している。

 

3 転換される農業政策

これまでの農業政策は、(旧)農業基本法において、生産者の所得向上に力点を置いて進められてきたが、農業を取り巻く環境の変化に対応するため、旧法に代えて、消費者の立場や農村の重要性も強調した「食料・農業・農村基本法」が99年7月制定され、食料の安定確保、国土・自然環境の保全、農業の持続的発展、農村の振興を目指すこととなり、食料自給率向上のため目標を設定したり、価格維持政策から市場原理を反映し価格形成に軸足を置いた政策へ転換することとなった。また、農業効率化のため農業生産法人の形態に株式会社も認めるほか、出資比率25%を上限に商社、外食産業など農業に直接関係のない企業にも出資の道が開かれることとなった。

 

4 懸念される世界の食料の安定確保

FAO統計によれば、世界全体の農業生産は60年代以降長期的には世界人口の増加率を上回って増加してきたが(60年・98年対比:生産2.5倍、人口1.9倍)、90年代は人口増加率の方が上回っている(90年・98年対比:生産7.0%増、人口12.1%増)。一方、世界全体の耕地面積の拡大は極めて緩慢である(60年・97年対比12.2%増)。今後の人口増加圧力と所得水準の向上を考えると、世界の食料の安定確保は予断を許さないであろう。しかもFAO調査によれば、発展途上国の栄養不足人口は94〜96年平均で8億3000万人いるとされている。

日本のみならず世界の食料の安定確保が大きな問題となっているなかで、日本の家庭における食べ残し量は、1日1世帯当たり約250gとの調査結果があり、これから日本全体の食べ残し量を推計すると純食料供給の5.2%に相当すると試算されていることは(農林水産省ホームページ)、食生活の反省材料のひとつであろう。

(注1)

純食料=国内消費仕向量-(飼料用+種子用+加工用+減耗量)-廃棄分。可食の状態の食料を表す

(注2)

食料自給率=国内生産量/国内消費仕向量。(カロリーベース、重量ベース、金額ベースで計算される)

 

(参考) 品目別各国別自給率(92-94年平均)

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資料:OECD、FAOのデータによる

 

 

 

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