コミュニティシンポジウム2000INふくおか
(財)自治総合センター
は じ め に
去る2月10日、福岡市内において、「21世紀におけるコミュニティ活動の展望」をテーマに、(財)自治総合センター、自治省、福岡県との共催で、「コミュニティシンポジウム2000INふくおか」を開催しました。
福岡県内はもとより、全国各地から行政関係者をはじめ、一般市民など約300名の皆様にご参加いただき、大盛況のうちにシンポジウムを終了することができました。
開会に先立ち、主催者を代表して、松浦正敬自治大臣官房審議官と長沢純一福岡県副知事のお二人による挨拶ののち、愛知学泉大学コミュニティ政策学部教授の中田實氏から、「コミュニティ活動の展開と今後の課題」という演題でご講演をいただきました。
パネルディスカッションでは、自治省行政課課長補佐の吉田昭彦氏をコーディネーターにお迎えして、パネリストには、中田教授をはじめ、地元の4名の有識者の方にご出席いただき、「21世紀におけるコミュニティ活動の展望」をテーマに、コミュニティ活動と地域ボランティアとの関わり、コミュニティが抱える課題、行政に期待される役割等について、5人のパネリストのそれぞれの立場から活発な議論が交わされました。
当日の中田實教授の基調講演、およびパネルディスカッションの概要は、次のとおりです。
基調講演
「コミュニティ活動の展開と今後の課題」
愛知学泉大学コミュニティ政策学部教授 中田 實
1. コミュニティの転換
1969年に国民生活審議会が作成した報告書の中で、初めて「コミュニティ」という言葉が使われて以来、自治省、文部省、農水省等が、様々なコミュニティ施策を展開して、30年が経過したが、コミュニティとは、今ひとつ何かはっきりわからず、今日に至っている。
コミュニティと言う言葉は、もともと広い意味があり、理解としては、端的にこれだといいにくい面がある。
それのみならず、既存の組織との関係で、町内会、自治会、行政区とどう違うのか、という問題が出てくる。
地区設定を行おうとすると、「うちはすでに自治会があるから、コミュニティはいらない」というような反対意見が出てくることがままある。
また、行政サイドでも、コミュニティの担当が総務、企画、教育委員会等、市町村によって、どこが主管部局になるのか実態は実に様々である。これは一方では、地域らしいコミュニティということで、結構なことではあるが。全体からみると、コミュニティ行政とは何をやるところ、という疑問が残ってしまうような状況にある。