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海外姉妹都市交流に思う

津村 重光(宮崎市長)

 

これまでを振り返って

 

本市は7年前に、前市長の時、アメリカ東部海岸に位置するバージニアビーチ市と姉妹都市交流を始めています。海辺の観光・リゾート都市という共通点が理由なのですが、これまで、各界の市民による相互の訪問など、結構、活発な交流がなされていました。

しかし、私自身は今一つ納得が行きませんでした。海外との交流に費用対効果を云々するのはおかしい、と反論されるかも知れませんが、多額の市費が費やされるのに、如何にまちの活性化に役だっているか、具体的に見えてこないからです。

 

新たな交流の模索

 

そんな疑問を持ちつつ、平成9年に、私が二度目にバージニアビーチ市を訪問した際に、この都市が全米でも屈指のボランティアのまちであることを知りました。

ところで本市でも自治会加入率の低下、ゴミ分別マナーの悪さ、青少年の非行等々、市民間に友愛と連帯の気持ちが薄れ、都市化による様々な問題が起きています。

私はこれに対処するには、互助の精神に立脚するボランティアが大きな解決策になると常々考えていました。しかし、市民にボランティアの意義を訴えて、理解してもらえるのか悩んでおりました。

けれども43万人市民の救急業務までも、ボランティアで行っているバージニアビーチ市民の姿に感動した時に、これをお手本に取り組んでみようと決断しました。

以来、「九州一のボランティア都市宮崎」をスローガンにして、様々なボランティア支援策を打ち出しています。

 

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国際ボランティア会議(バージニアビーチ市にて)

 

昨年からボランティア市民研修団を、三分の一の自己負担を頂き、バージニアビーチ市に派遣しています。初年度は、市民に趣旨を十分には理解してもらえず、30人の定員を埋めるのに苦労しましたが、その後は反響が良く、今年は2倍の申し込みでした。

現在、建設中の市民プラザには、ボランティアセンターを設置し、運営もボランティアに委託予定です。

また、野心的な取り組みとして、図書館運営に協力して頂いている退職校長さんや女性のボランティアグループに、NPO法人を作ってもらい、図書館運営をお任せできないか具体的に検討してもらっています。

そういった折、過ぐる10月、全国ボランティアフェスティバルが本市で開催され、大きな成果を収めました。バージニアビーチ市からは、本市のボランティア活動を応援しようと、市長さんやボランティア協会の代表者など、22人も参加してくれました。

漫然とした交流でなく、しっかりした目的、相互に学びあうテーマを明確にすることから固い友情が生まれます。

 

今後はアジアに姉妹都市を

 

アジアにありながらアジアでない日本、そんな国民の意識が気がかりです。今後は市民レベルでの近隣アジアとの友情と連帯が必要です。

私はアジアの都市との交流の柱を中学生の国際化教育にしたいと夢見ています。今、宮崎市の中学生の修学旅行は九州一周です。市も支援して、例えば、北京の故宮や万里の長城を見せてあげたいと思います。

世界の広さと悠久の歴史や文化に触れさせることが、青少年の健全育成の近道ではないでしょうか。

これらの取り組みが、宮崎市の今後の地域社会づくりの大きなバネになるものと確信しています。

 

 

 

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