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(6) VFM〔Value for Money〕の算定・評価

VFMの算定はPFI事業として適しているか否かを計る指標となるため極めて重要である。

 

本事業では、次の考え方によりVFMの算定・評価を行った。

1]VFM算定に当たっての考え方

PFIの考え方を取り入れるにあたり、量・質双方の向上を図り支出額に対して最も効率的かつ効果的に実施できることが前提となる。これを具体に評価するにあたっては、事業期間全体を通じた本市の財政負担(ライフサイクルコスト)の縮減(VFMの実現)が期待できるかどうかを算定する必要がある。

具体的には、この事業を市が直接実施すると仮定した場合の事業期間全体を通じた財政負担(施設の設計・建設・維持管理等)と民間事業者(PFI事業者)が実施すると仮定した場合の市の財政負担(公共サービスに対する対価)を比較し、PFI事業における財政負担が少ない場合、または財政負担は同額であってもサービスの向上が図れる場合に限って実施することが適切と判断される。

正確な費用の算定を行うためには、直接実施する場合と民間の提案による場合を事前に設定し、それぞれを算出し、比較する方法が考えられるが、この方法では算出費用の信頼性を向上させることはできるものの作業への負担が大きい上、民間事業者の創意工夫により効率化等を期待する面もあるため、事前の算定はかえってVFMの実現を阻害することが考えられる。

したがって、本事業では、市及び民間それぞれが実施した場合の規模を想定し、既に公表されている各種調査資料・統計データーを用いそれぞれのライフサイクルコストの見込額を算定することとした。

 

2]リスク調整費

PFIにおいては、従来公共部門が負担していたリスクを民間事業者に移転(設計・建設等)して実施することになる。このコスト(リスク調整費=リスクを定量化した額)を市が実施した場合のコストとして評価する必要がある。

このコストは、我が国では認識されることが少なく、その算出方法は、我が国では確立されているものではない。このため、ここでは欧米におけるプロジェクトに関するライフサイクルコスト分析で利用されている手法により移転する各リスクの顕在化確立により被害が発生する確率、被害額の確立分布を専門家の経験に基づき設定し、試算を行った。

 

3]評価の結果

現在、事業実施に向けての作業中のため具体的数値を示せないが、PFIによる事業効果として期待される民間事業者自らの技術提案による事業コストの縮減、民間部門への移転リスク等に関する評価の結果、本事業をPFI事業として実施することにより、事業期間を通じた本市の財政支出を削減することが期待できるものと考える。

 

 

 

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