おわりに
川崎市は現在、これまで述べてきた『新事業手法検討調査報告書中間報告(川崎版PFI基本方針の策定に向けて、平成11年11月)』に基づき、新中期計画事業(281事業)をべースに新事業手法を導入すべき対象事業の抽出・選定を行っている。
PFIの対象は、本来市場機構になじまない事業や施設であり、公共の手で実施されてきたものであり、これらを民間企業で成り立たせるためには相当の工夫も必要となるだろう。また、サービス提供型はコストが高くなるおそれもあり、また、対価を高くしないと採算がとれない、高くすると公共性が保てないというジレンマもある。民間資金を導入した事業は従来の公共事業と比べ複雑な形態ともなっていく。
いずれにしろ、PFI成功の鍵は徹底した情報公開による透明化であり、プロセスの透明性と標準化の確保が求められる。また、新事業手法検討はそれ自体に大きな意味が込められており、本市の中期事業を再度点検し、現況における新たな意味づけを行うという積極的な側面も有している。
私どもは、今回の大都市問題研究会において、PFI導入に向けた各都市の真摯な努力を垣間見させていただいた。川崎市も、他都市の施策展開に学びながら様々な視点から検討を行い、市民ニーズに適合した新たな事業手法の構築に向けて努力していきたい。それは、多様で広範にわたる市民ニーズに対応してくためであり、時代状況に的確に対応するためである。
新たな時代を切り拓いていくためにも、新事業手法に適合する事業を選定し庁内横断的なプロジェクトにより、時間をかけて成功に導いていきたい。
* 以上、PFIなど新事業手法導入に関する私見をまとめたものである。