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このうち、「財政規模」としては、歳入総額及び歳出総額を用いることとした。

また、「財政構造」としては、歳入に占める地方税の割合を用いることとした。これは、財政構造としては、歳入面と歳出面(あるいは両者の組み合わせ)とが考えられるが、歳出構造は歳入構造と比べて財政運営上の政策判断に左右されやすいことから、歳入構造に着目することとし、さらに、歳入科目の中では、地方財源、特に地方公共団体が自由に使用できる一般財源の中心的地位を占める地方税に着目することにしたものである。

 

第一に、財政規模と上記1]〜18]との関係を、二次元散布図、回帰分析等の手法により分析した。

その結果、財政規模との間に強い相関関係が認められ、かつ、現在基準として用いられている人口を、引き続き採用することが適当と判断した。人口以外にも、就業者数等、財政規模との間に強い相関関係が認められるものもあったが、これらは人口により代表することが可能であり、また、現行基準との継続性を重視すべきと考えたためである。

続いて、人口を基準として採用することを前提に、それを補完する基準(人口による区分を更に細分化する基準)として、現在基準として用いられている第2次・第3次産業人口比率と、財政規模との間に強い相関関係が認められた小売業従業者数の有効性を比較した。その結果、市については、小売従業者のほうが有効であったが、町村については優劣がつけがたかった。

 

第二に、小売業従業者数及び第2次・第3次産業人口比率が財政構造を決定する度合いが強いかどうかを検討することとした。

このため、人口によって財政規模別に分類された地方公共団体を、さらに第2次・第3次産業人口比率及び小売業従業者数により区分し、それぞれの区分が、財政構造を反映していることかどうか確認した。

その結果、第2次・第3次産業人口比率による区分は、町村については財政構造を強く反映していることが明らかとなった。ただし、市についてはその程度は低かった。また、小売業従業者数による区分は、市については財政構造を反映しているが、その程度は必ずしも高くなく、町村については、財政構造を反映しているとは言えなかった。

 

以上の検討結果に基づき、類似団体の類型設定基準については、

1] 現行の基準である人口は、類型設定基準として有効に機能しており、引き続き採用するべき

2] 現行の基準である第2次・第3次産業人口比率は、一部、有効に機能していない面もあるが、町村については有効に機能していること、これより明らかに優れた基準が他にないこと、現行基準との継続性も尊重すべきことから、引き続き採用するべき

3] ただし、分類の精度を上げる観点から、小売業従業者数も部分的に採用することとするべき(1]及び2]による区分のうち、該当団体の多い区分を、小売業従業者数の基準を用いて細分化する。)

と考えられる。

 

また、中核市については、他の市とは行政権能が異なること等を踏まえ、類似団体の類型設定を行う上で、区別して取り扱うべきと考えられる。

 

 

 

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