23.2.4 リミテッドリコースに立脚してプロジェクトを構築することの一つの利点は、そうした方法が入札者たちに、プロジェクトに関連する、あらゆるリスクを徹底的に調査し、プロジェクトを確固たる者にするような方法でそのリスクを配分する必要を生じさせることである。
23.3 損失補償
23.3.1 当局は、契約により、事業者がある一定の費用の、当局への損失補償を必要条件として課されるよう確実を期したいと欲し、事業者はこのような偶発的補償責任をその入札価格に含める準備をする。
23.3.2 民間調達における一般原則は、当局に対して提供される損失補償にはいかなる制限も設けるべきではないというものである。しかしながら、営利本位の必要性から要求される場合、この原則は無視される可能性があるし、PFIプロジェクトの多くはこれに該当する公算が大きい。当局は概して、範囲もしくは金額のいずれかにおいて無制限の損失補償を必要とすべきでない。補償責任に関わるリスクは、直接、下請業者に移転されるだろうし、(下請業者がこれを承諾すれば)価格が増大する結果となるからである。
23.3.3 契約にもとづく補償責任責任に対する制限の分析は、当局による、相手方当事者の評価の一部分である。補償責任の存在または程度は事業者及び下請業者に対する他の契約義務とともに検討する必要がある。この意味で、【23.6損害賠償請求】が該当する。発生する公算の大きい請求に関連する保険の水準は、どのような制限が適正かについての検討に関連する。
23.3.4 プロジェクトに生起する雇用問題の多くからプロジェクトに特有の性質が付与されるとすれば、雇用に関わる損失補償、もしくは雇用保護に関わる義務移転規制1981 SI No.1794に関わる問題のいずれにも、いかなる指針も与えることはできない。但し、いくつかの事例では、そうしたことも適正である。
23.3.5 一般的な形式の損失補償を取り扱う、適正な契約書草稿は、以下のとおりである。
23.3 損失補償
(a) 事業者は、後掲の(b)にしたがい、当局、その雇用者、代理人及び事業者に対し責任を有するものとするし、それらの者を、以下を理由とする補償責任のすべてから解放し、それらを損失補償するものとする。
(i) 死亡もしくは人身被害
(ii) 財産(当局に帰属するか、もしくは当局が責任を負う財産、)損失もしくは損害