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17.5.2 制限が必要な場合には、個々の株式の移転より、支配権の変更に注目するべきである。

これを規定する条文の一例が以下である。

(b) 事業者は、制限対象株式移動2を行うにあたっては必ず当局の事前の書面による同意を得るものとする。同意には諸条件がつく場合もある。但し、優先債権者が、事業者の株式上の担保権を行使する場合を除く3

(c) 上記の小項(a)4および(b)の場合、

(i) 証券取引所に上場されている株式の受益権もしくは法的所有権の変更は無視されるものとする。

(ii) 系列会社に対する株式または株式上の権利の移転は無視されるものとする。

 

17.5 関連する諸問題

 

17.5.1 だれが株式の所有権もしくは受益権を保有しているかを確かめることは常に可能とは限らない。また、表面に出ない所有権の変化をも管理下に置こうとすることはどのような方法でも不可能かもしれない。名義人を使用すれば、当局は変更に気づくことさえない可能性もある。したがって、支配権の変更制限規定による保護措置は、当局が相手方当事者の所有権を実質上支配するための道具としては不完全であるとみなすべきである。

 

2 この用語は契約書上で適宜定義される。但し、一般的には株式譲渡禁止先リスト(【17.4.1】参照)上の先(又は株式譲渡許可先リスト上に無い先)に対して株式移転する場合を指すようにするべきである。これらのリストもまた、禁止譲渡先(または許可先)の分類の一般的な説明と共に定義される必要がある。

3 追加出資義務がある場合は、さらなるコントロールメカニズムが必要になるかもしれない。

4 【17.1.2】参照

 

 

 

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