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こうした問題のいくつかについては、【5・2・3 補償の算定】で論じられている。重大な変更があれば、契約の修正もしくは追加の資金調達が必要となる公算が大きい。後者の場合、変更時に支配的な融資環境に服するか、もしくは当局がみずから融資しなくてはならないか、そのいずれかである。契約は、当局の操業環境における大きな変化に対応するために必要な弾力性を備えていなくてはならないが、かかる変更はできるかぎり最小にとどめるべきである。

 

12.2.3 むろん、中には追加的な経費がいっさいかからない変更もあるし、ある程度費用を削減するものもあるかもしれない。

 

12.3 当局が発生させたサービスの変更

 

12.3.1 当局による変更は、サービス提供の必要条件の変更もしくは投入に関連して指定された制限の変更にかぎられるべきである。例外的な事例では、当局が必要とするかもしれない変更の種類が限られていることもある。たとえば、当局が利用可能な場所の必要条件を一定水準以下に切り下げたり、刑務所プロジェクトにおいて男性用刑務所に女囚を収容せよと求めたりすれば、阻止される。変更後の形式は、最初の仕様の再陳述とすべきである。

 

12.3.2 建設もしくは開発の段階における変更は、最小限度にとどめるべきである。しかしながら、例外的な状況であるが、建設段階であれば、事業者は変更を比較的安価に組み込むことができるかもしれない。建設段階はひとたび作業が開始されると、たいへん高額の費用を要するからである。契約には、この可能性を反映させるための規定が組み込まれるべきである。

 

12.3.3 以下、変更を行うために推奨される手続について詳述する。まず当局は、意図されている変更を詳述した通知を送達し、事業者に対して、その変更が技術、資金、契約および日程に及ぼす影響に関する見積もりを、たとえば14日以内に提出するよう求める。事業者は、この段階で、なぜ当局にはかかる変更を求める権利がないのか、その理由(事業者がかかる変更に抵抗する理由と原因)を詳述する権利が与えられるべきである。この段階は、事業者がそうした変更のもつ影響力を見積もり、迅速に提出させることにある。

 

12.3.4 当局は、事業者がプロジェクト・リスクを増大させる変更に同意することを、とくに事業者の融資者が許可する見込みはほぼ皆無であることを認識すべきである。しかしながら、かかる制限は合理的でなくてはならないし、実際に融資者が膨大な投入を行って、事業者の、みずからの権利の範囲内で変更に同意する能力を支配しようとしている場合であれ、融資者は独立した拒否権を持つべきではない(契約書草案第12章第4条を参照のこと)。事業者が変更の結果と支払いを受ける方法から完全に保護されている場合、事業者の融資者からの異議はいっさい出ないだろう。

 

12.3.5 事業者の異議が妥当であるか否かを検討するにあたり、当局は該当するすべての状況を考慮に入れるべきである。たとえば、事業者が資産の残余価値に関わるリスクを負っている場合に、事業者が資産に生じる構造的変更に対して異議を唱えるのは妥当である。

 

 

 

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