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9.11.4 契約には、サービスの特定部分につき履行が継続的に不十分だったり、特定の不履行が矯正されない場合、履行を改善するよう事業者を促すための歯車装置を置くのが適正である。これはとくに、発生した業績ポイントの金銭的な費用が事業者に対して過失を修正するための適正なインセンティブを提供するには不十分な場合、有効である。しかしながら、その仕組みが複雑すぎれば、管理が困難になる可能性があるし、価格メカニズムに負担の大きい手段が含まれていれば、VFMが不十分になるおそれがある。しかしながら、このメカニズムを用いることの重要な利点は、そうした不十分な履行が相当の期間継続した場合、融資者にとってそれを無視するのはもっと難しいため、事業者が早期に対策を講じるように促すことである。

 

9.11.5. 一般に、必要条件として課された水準以上の履行によって獲得した業績ポイントは“貯金”して失点の“穴埋め”に用いることはできない。必要条件として課される水準は妥当であり達成可能と考えられるところに設定されるべきであるから、事業者が絶えず高得点を取れるようなら、その水準が低すぎることもあり得るから、その水準をもっと高くしたところで当局は付加的な利益を得るか、もしくは以前の不十分な履行の補償を受けることもできない可能性がある。

 

9.11.6 業績ポイントの制度は、サービスの、できるかぎり多くの側面を対象としなくてはならない。全方位包囲体制の履行促進制度が実行不能か、もしくは継続的な不履行を十分に提示しない場合(【9.11.4】に詳述されているとおり)、基準以下の履行につき業績ポイントの制度が効かない(【20.2.3 継続的な違反を理由とする、事業者による契約終了】を参照のこと)場合、当局はみずからが事業者に対してどのような手段を持っているのか、検討すべきである。

 

 

 

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