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9.4 履行監視の開始

 

9.4.1 契約は、サービス提供が開始された当初より履行体制が完全に適用されるかどうか、定めなくてはならない。プロジェクトの中には、刑務所プロジェクトのように、時間をかけて解決することが不可避なことが広く知られており、事業者がある程度柔軟に対応できるプロジェクトもある。一方、(安全という要素がきわめて重要な)道路プロジェクトのように、事業者は問題が皆無であるよう確実を期することが必須なため、当局が初日から完全な履行体制を必要条件として課すプロジェクトもある。柔軟性を持たせることが不可能な場合、当局はかかるサービスが、かかる期間中はより高額になることを予期して、かかる必要条件のVFMを評価すべきである。

 

9.4.2 解決するための時間に柔軟性を持たせるようなアプローチの一つとして、事業者が金銭的な制裁を受ける前の方が、かかる制裁を受けてから後の契約期間よりも、高い業績ポイントを獲得できるようにする方法がある。また一方では、(たとえば、施設が、現存する施設から新しい施設に移される場合に)事業者に3〜6ヶ月間の問題解決のための期間を与えて履行体制を上手に活用した契約もある。この期間中に監視が行われるが、不十分な履行を理由に事業者に課せられる金銭面での削減は、操業が完全に確立された場合に比べて低い額に決まる(しかしながら、かかる事例では、こうしたことは、事業者の不履行を理由に契約を終了する、当局の権利には影響を与えない)。

 

9.5 履行の監視

 

9.5.1 契約の中には履行体制について柔軟性を持たせたものもあり、この場合事業者もしくは下請業者の代理が履行の任に当たる。

 

9.5.2 下請業者が交代する場合に、履行体制を変更するのは適正でない。というのは、下請業者を管理するのは事業者の責任であり、下請業者の不十分な履行というリスクは事業者が負うべきものだからである。当局は、下請業者の交代によって不利益を被るべきではないので、履行体制は中断されるべきではない。しかしながら、当局は履行を改善し契約の終了を回避する目的で、事業者に、下請業者を交代させる権利を持たせるべきであることを認めるべきである。これを可能にするために、事業者はふつう終了時の限界を、みずからに適用される限界より低く設定する(もしくは、適切な時期に早期終了を行う)だろう。

 

9.5.3 事業者および下請業者の交代契約に関わる契約と直接契約(【30. 直接契約】を参照のこと)において採られるアプローチはむろん、整合性がなくてはならない。

 

9.6 だれが監視を行うか?

 

9.6.1 解決しなくてはいけない、きわめて重要な問題は、だれが監視を行うか?であり、当局、事業者、その双方の共同、もしくは第三者のいずれかである。

 

 

 

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