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7. サービス提供の必要条件と利用可能性

 

7.1 はじめに

 

7.1.1 PFIの実質は、サービスの調達でなくてはならない。それゆえサービスが利用不能であれば、当局は支払いを削減する(もしくは、事情によっては、まったく支払わない)結果とならざるをえない(【10.2 支払方法の特徴】を参照のこと)。

 

7.1.2 多くのプロジェクトにおける重要な問題は、なにが利用不能性を構成するか、ということである。これは、慣習に関わるリスクが移転されないかぎり、サービスが利用可能であれば、たとえそれが使用されなくても当局はそのサービスに対する支払い責任がある(【10. 価格と支払い方法】を参照のこと)。

 

7.1.3 この章では、利用可能性により支払いが左右されるプロジェクトに焦点が当てられている。かかるプロジェクトのもっとも明確な例は、建物を基礎としたサービス提供(たとえば病院、学校、刑務所もしくは事務所など公共施設)を主眼とするプロジェクトである。かかるプロジェクトは、特定の詳細部分から他部門では生じない多くの問題が発生する(たとえば、定義によれば使用不能だが、当局が依然として利用中の空間に対する支払いという問題(【7.8 利用不能だが使用されているサービス】を参照のこと)ため、そうした部分が調査される。

 

7.2 利用不能の定義

 

7.2.1 利用可能性を基礎とする支払いを定める契約は、“利用可能な”という語がなにを意味するのか(もしくは、それに代えて“利用不能な”という語がなにを意味するか)定義しなくてはならない。支払いは定義が満たされるかどうかによって異なるため、事業者とその融資者は当然ながら、この定義が客観的かつ合理的で、全体としてのサービス提供という流れにおいて達成不能か、もしくは重要でない判断基準を含んでいないかどうか非常に気に懸ける。

 

7.2.2 したがって、利用可能性の定義は、サービス提供の中核的機能に集中し、両当事者にとってそれらが満たされるかどうかが明白であるような、明確な判断基準を含んでいるべきである。この判断基準は、物理的側面(たとえば、ある部屋にはベッドを入れる、など)に限る必要はないが、サービス提供の中核的機能である“サービスのソフト面”を含んでいなくてはならない。たとえば、食事の調達と配膳は刑務所や病院といった公共施設では当局がその役割を果たすために有用であるかもしれないが、他のプロジェクトでは使用しないかもしれない。かかるプロジェクトにとって、許容可能な最低限の基準にとって、食事の調達という機能を果たしているサービスの存在が、利用可能性の定義に含まれているのが適正だろう。しかしながら、最低基準が満たされることを条件に、かかる事情において食事の調達というサービス提供が不履行であれば、サービス全体が利用不能にはならないにせよ、結果的に性能が低下する(【10.3 直接的な財政的インセンティブと間接的な非財政的インセンティブ】を参照のこと)。

 

 

 

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