第5章 将来像実現に向けた行政体制の整備
1 将来像実現に向けた行政の役割
これまでに掲げられた事例を踏まえると、地域振興において、その萌芽を発掘し育成し、果実をつけ、結果としてその地域の振興を図るうえでは、行政の役割が極めて大きいことが言える。特に、小規模町村の場合、往々にして行政がその市町村における頭脳であり同時に手足であり、何につけても行政が動かないと物事が進まないという現象も場合によっては見られる程であり、その地域の振興を考えると行政の果たす役割は、小規模町村ほど高いということが言える。
従って、少なからず地域の振興を目指そうとする行政体であれば、情報の収集管理、分析、調査研究、政策の立案・実施、政策の評価など、いずれの面をとっても高度な専門知識を持って組織的な取り組みを行う体制が整備されなければならない。しかもそうした行政の役割は、小規模町村ほど地域振興において重要な役割を担うこととなるが、小規模であればある程、人的・組織的な限界があり、地域振興に積極的な役割を果たすことが困難になるのが実情である。今日、地域づくりや起業化の取り組みを促進しようとすれば、小規模町村においては、民間の活動だけに期待していては、その成功を期待することは難しく、まず行政の役割を認識し自らの体制づくりを図ることが、地域の将来像実現に向けた第一歩となる。
2 行政体制の整備
現在の市町村を取り巻く現状を見てみると、第2章で検証してきたように少子高齢化が進展しており、特に中球磨地域は、全国平均よりも10年早く高齢化が進んでいる本県平均よりもさらに高齢化が進行している。高齢化の進展は、地域の活力の低下や労働力人口の減少など経済成長を低下させる一方、医療、福祉などの社会保障関係経費の増大など、公的財政需要を更に増大させることとなる。
また、財政状況をみると、我が国財政は平成11年度末の国・地方を合わせた長期債務残高が約608兆円(対GDP比123%)に達する見込みであるなど極めて厳しい状況にある。特に国の長期債務残高は平成11年度末には約451兆円に達する見込みであり、地方財政も平成11年度末には借入金残高が約179兆円に達する見込みであり、国・地方ともに長期債務の累増が著しい。