また、高い収益を追求せず、自ら土地を開墾して完全無農薬の野菜などを栽培し、新しい農山村の生活スタイルを提案する「球磨(日の出)百姓村」の試みもユニークな取り組みといえる。
(5) その他
平成7年3月に竣工し同年4月から稼働している上村堆肥センターは、1]畜産環境の整備・改善、2]良質な堆肥の製造・普及、3]良質な堆肥を利用した安全な食品の生産による農村の生産基盤の確立の3点を事業の目標に、畜産農家から糞尿を購入し、これを堆肥化し販売している。
糞尿のリサイクルシステムが定着すると、糞尿有機肥料による作物栽培が促進され、安全・安心・自然な中球磨ブランドの農作物として確立することが可能となるであろう。
また、南稜高校は、農業系学科のある高校として、地域に残って農業への就業をめざす高校生だけでなく、Uターン、Iターンなどによる就農希望者などから見ても専門的な農業教育機関としての役割が今後期待できる。
(6) 林業
中球磨においては、周辺部が森林地帯であり、合わせて約1万haの林野が広がっている。
人吉・球磨地域は県内でも林業の盛んな地域であるが、国産材の需要の低迷、林業従事者の減少により、他の地域と同様、近年、木材生産が低迷している。
しかし、木材としての価値だけでなく砂防や保水や環境保全など、森林が有する多面的な役割を考えると、引き続き重要な地域資源である。また、森林はキャンプや森林浴など、リゾートの場としても重要であり、樹木を通した自然と環境学習の場や癒しの場としても将来大きな役割が期待できる。