3 地域経済への波及効果の比較
(1) 生産波及効果の規模と分野の比較
呉港における空間創出事業が実施されることによる生産波及効果は、産業連関表の逆行列係数によって把握することができる。全国的にみてメガフロート又は埋め立てによる空間創出事業が実施された場合、図表2-4に示すように、以下のような状況にある。
・メガフロートについては、直接該当する分類がないため、91部門表による「建設・建築用金属製品」とした場合、平成2年には2.40倍の波及効果が生じていたが、平成7年には2.35倍とわずかに減少している。そして、「船舶・同修理」とした場合には、平成2年には「建設・建築用金属製品」をやや上回る2.49倍の波及効果が生じ、平成7年には2.53倍とわずかに増加している。加工組立型産業の波及効果が相対的に大きいことがわかる。
・埋立てによる事業は「土木」が該当すると考えられるが、これによると平成2年には2.18倍の波及効果が生じていたが、平成7年には2.08倍へとわずかに減少している。
注)・輸入による国内への波及効果の減少分は考慮されていない。
・後述する広島県のように41部門表が示されていないため、91部門表を活用する。
資料:総務庁統計局「産業連関表」(各年)
次に、“呉市において”メガフロート建設又は埋立て事業によって空間創出事業が実施された場合、地域産業活動に対する波及効果としてその規模と対象産業分野にどのような差異が見込まれるかについて、広島県の「地域産業連関表」をもとに試算する。なお、メガフロート建設に伴うメンテナンスコストは、各年に平均して費用が発生し年間で1,000万円程度という少額でみているため、ここでの検討には含めない。
平成2年の「広島県産業連関表」による、生産波及効果の比較を41部門分類をベースに比較すると、以下に示すような特徴がみられる。
メガフロート類似施設として、41部門分類では「船舶・同修理」又は「金属製品(より詳細な93分類(注)では、建設・建築用金属製品、その他の金属製品に2区分される)」が該当し、また、埋立てには「建設(同、建築、建設補修、土木に3区分される)」が該当するため、これをもとに波及効果を比較する(ただし、メガフロート建設費のうち泊地浚渫費及びアクセス道路建設費は、埋立ての場合と同様に「建設」の指標を活用し、メガフロート本体の波及効果と合算する。