2 高次の広域機能に関連する施設の規模の想定
ここでは、平成10年度調査において検討した、呉市及び呉地方拠点都市地域において必要とされる高次都市機能である防災機能、廃棄物の広域処理機能、海洋環境産業について、その必要とされる施設の規模について検討を加える。
(1) 呉市広域防災施設
ア 導入機能検討上の視点
(ア) 阪神・淡路大震災の教訓を踏まえて求められる機能
阪神・淡路大震災の教訓として、災害時の港湾の役割について以下が指摘できる。
ア 被災地内外の移動拠点として、多様な交通ニーズを処理した。
・救助活動要員の参集
・域外への脱出、域内への救援・お見舞い・安否確認
・域内移動(陸路寸断時の通勤・通学の足として)
イ 緊急物資の避難所等への配送にあたり、仕分け・集配機能の必要が生じ、実際に摩耶埠頭CFSがその一つとして効果的に機能した。
・接岸機能の耐震強化の重要性
・埠頭用地の耐液状化対策の重要性
・臨港道路のリダンダンシー確保
・オープンスペースの有効利用
ウ 小型船であっても都市の中央部へ乗り入れ接岸できることは重要であった。
・耐震設計以外の岸壁がほぼ全滅するなか、造船所の浮きドッグ、K-CATの浮き桟橋にはほとんど被害がなかった。
・多種多様な形状の物資が多く、一時にコンテナ化するだけのロットがそろわないため、クレーン作業を伴わないRO-RO船などが有効に機能した。
エ 港湾緑地をはじめとするオープンスペースが多様に機能した。
・一時緊急避難
・仮設住宅設置
・救援物資の野積みによる仮置き
・震災廃棄物の野積みによる仮置き
これらから、港湾に求められる機能として、以下が指摘できる。
ア 地震に強い接岸機能(耐震強化岸壁、浮体構造物)
イ 水平荷役が可能な接岸機能(フェリーターミナル、RO-ROターミナル、浮体構造物)
ウ 仕分け・配送機能(エプロン、CFS/CY、上屋、野積場、その他の保管施設、駐車場、臨港道路)
エ 物資備蓄・一時保管機能(上屋、野積場、その他の保管施設)
オ 通信・指令機能(コントロールタワー)
カ 避難者交流ターミナル(旅客ターミナル)
キ 多目的オープンスペース(港湾緑地、埠頭用地)
ケ ヘリポート(港湾緑地、埠頭用地)