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序 本調査研究の位置づけ

 

1 本調査研究の体系

本調査研究は、図表序-1に示すような全体体系のもとで、平成10年度からの2年度にわたって実施したものである。平成10年度には、「広域機能の必要性」に相当する前半部について検討を加えた。

すなわち、港湾都市として発展してきた呉市が、新たな時代に対応した港湾機能整備を図る際の可能性を検討し、あわせて、この港湾機能にとどまらない高次機能(広域防災機能、広域廃棄物処理機能、海洋環境産業の創出、など)の整備の必要性を明確にした上で、その実現方策と課題………例えば、機能整備にむけた空間創出の方策について検討した。また、この点に関しては、山地が迫り開発余地が小さいという呉市の地形条件上の制約面からみた課題解消の具体的手段の一つとして、現在、技術研究が進められているメガフロート導入を受け皿として想定して検討した。

 

まず、第1章では、呉市及び呉地方拠点都市地域の社会経済環境の現状と特徴を検討し、呉地方拠点都市地域の自律的成長の牽引にとって港湾機能の強化が特に重要であること、あわせて、地域の既存産業・技術集積を活かした高付加価値産業の育成、港湾を活用した大規模災害対応力の強化、地球環境問題への対応と効率的なゴミ処理システムの確立が重要であることを指摘した(図表序-2参照)。

 

第2章及び第3章では、呉市及び呉地方拠点都市地域に関わる広域物流の現状、呉港物流の現状と特徴、呉港における既存計画、呉港が担うことを期待されている機能、等を検討した上で、新しい港湾機能整備の必要性について検討した(図表序-3参照)。

 

第4章では、圏域の中心都市にふさわしい新たな高次機能の必要性について検討し、防災機能については、呉市及び呉地方拠点都市地域において想定される被害とこれに基づく対策活動需要に対応した施設の必要規模を勘案した上で、呉港に求められる機能として、救援物資の搬出・搬入、災害廃棄物の一時保管、救助・救急活動支援、避難支援の4つの高次機能を抽出した(図表序-4参照)。次いで、廃棄物処理については、ダイオキシン問題など廃棄物処理における最近の状況に対処するために取り組まれている一般廃棄物の広域処理の動きを受けて、呉港に整備が求められる機能として海上交通の利用を想定したゴミ・残滓等の受入機能を提示した(図表序-5参照)。また、海洋環境産業創出の必要性については、洋上プラントによる産業廃棄物処理デモンストレーション事業として検討されているものについて位置づけた。

 

第5章では、新たな機能整備事業の場の創出方法の選択肢の一つとしてメガフロートを位置づけ、その特性とメリット・デメリット、呉市への適用の妥当性等について検討した。

 

 

 

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