日本財団 図書館


2 大阪を中心とした観光動向と白浜観光の位置づけ

マスコミによる各種調査やエージェントに対するヒアリングなどから大阪を中心とした発地ベースの観光地評価を見てみると、白浜は次のように評価されている。

1] 全国ベースでの温泉観光地評価では、白浜・勝浦はそれぞれ28位、27位と、ほぼ同ランクにある(図表4-6参照)。また、行ってみて良かった観光地のランキングをみると、南紀白浜は15位にランキングされ、全国的にみても高い評価を得ている(図表4-7参照)。北海道観光土産品協会調べによる温泉地を持つ全国市町村の入湯客数順位(平成10年度)をみると、入湯客10万人以上の市町村は334にのぼるが、そのうち、白浜町は134.5万人の入湯で、17位に位置する。入湯者数100万人以上の温泉地は33にのぼるが、このうち、前年度の入湯者数を上回るのは11であり、全体の3分の2が減少している。白浜町の減少率は13.4%であり、郡山市(磐梯熱海)についで減少率は2番目である。観光行動における温泉に対する人気が高まるなかで、宿泊中心の大温泉地が苦戦している状況が現れている。

2] 大阪を中心とした都市住民の観光行動でみると、「紀南」地方は日帰りでは六甲・有馬や京都・奈良に大きく引き離され第7位であるが、宿泊では第1位を占めている(図表4-8参照)

3] 「じゃらん」の大阪圏域での調査から、和歌山県の中での知名度についてみると、白浜はトップで抜群に知名度は高く、行ったことがある観光地でも勝浦を引き離している。但し、行きたい観光地という評価では龍神温泉、勝浦温泉に次いで3番目となっている。すなわち、図表4-9に示すように、「じゃらん」読者は、和歌山県内の各観光スポットに対して、以下のような認知度をもっている。

・ 白浜温泉の知名度は、県内の温泉ばかりでなく、県内観光スポットのなかでも抜群に高く、9割以上の人が「知っている」と回答している。

・ 「行ったことがあるか」という質問に対しても66%の人があると回答しており、認知度の場合と同様に最も高い経験度を有している。しかも、勝浦温泉との比較では、認知度という点では余り大きな差異はないが、経験度では、勝浦温泉を大きく上回っている。また、龍神温泉などのその他の温泉はいずれも20%を下回っている。

・ 「行ってみたいかどうか」という点では、白浜温泉に対する選択は25%にとどまり、龍神温泉(34.3%)、勝浦温泉(33.0%)を下回っている。

・ 白浜温泉は、このように抜群の知名度を誇るが、行ってみたいという魅力に関する点では、他の温泉地と比較して、特段の優位性を持っているとは言い難い。秘湯ブームを反映して、周辺の小規模な温泉地に対する関心が高いと言えよう。

・ 旅行経験者の目的をみると、温泉、海水浴、美味しいものを食べるということが圧倒的に多くなっている(図表4-10参照)。ちなみに、和歌山県への旅行未経験者が和歌山県に関して持っているイメージをみると、基本的には旅行経験者と大きな差異はなく、“海”と“温泉”のイメージが強く(この点では白浜町に寄与するところが大きいと考えられる)、“自然に恵まれ”、また、“食べ物が美味しい”とみられている。しかし、他方で“遠い”とみる人が多い点が問題であると言えよう(図表4-11参照)

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION