資料2 名桜大学にみる大学設置の取組事例
(1) 大学の概要
名桜大学は、沖縄本島北部名護市に位置し、1994年(平成6年)に開校した。大学創設の理念を「平和」、「自由」、「進歩」におき、東南アジア地域や県人と関わりのある中南米に関する講義と実習を通した国際理解の分野、情報化時代の産業活動に対応する経営・情報教育分野、沖縄のリーディング産業である観光産業分野などの教育課程を設置している。1998年にはじめての卒業生を出し、1999年3月までに679名の卒業生を輩出している。
(2) 設置の背景
ア 産業振興への対応
沖縄県の産業別総生産は、第一次産業2.5%、第二次産業20.7%、第三次産業76.8%(就業構造でみると70.7%)であり、第三次産業中心の産業構造であるが、中でも観光・リゾート産業は本県のリーディング産業として位置づけられており、『観光産業』についての研究と人材の養成が求められている。このため、特色ある学科として観光産業科を創設した。
イ 教育の機会均等
大学等進学率は、全国が43.3%であるのに対し、沖縄県は28.8%(平成6年)であり、また県民所得も全国比約70%であることから、教育費の負担を軽減する観点からも、県内に大学を創設して高等教育への機会を提供する必要があった。
ウ 沖縄県北部の地域活性化
沖縄本島北部地域は、県人口の約10.8%を占めているが(1996年(平成8年))、過疎化が進行している地域である。高等教育機関が県の中南部に所在していることもあって、若者の流出に歯止めがかからない状況にあることから、大学設置による人材の養成、教育文化の向上、若年者の定着を図り、地域の活性化と産業振興を推し進める必要があった。