日本財団 図書館


この両アンケートは、時期的に4年間の開きがあり、対象企業も異なるが、全般的に物流施設の整備意向は強く、とくに本節の冒頭で整理したような物流環境の変化のもとで時期が新しくなるにしたがってその比率はより高まってきていると考えられる。

次に、1]として挙げた千葉市等の近隣市の中小トラック業者の移転立地については、すでにふれたように千葉北IC周辺地区における200haに及ぶ物流・工業・住宅機能開発(「千葉北インターチェンジ周辺地区開発構想」)がとん挫している。これは、開発対象地域の土地がまとまらなかったこと、千葉北ICにつながる既存交通体系が混雑の問題で十分機能しえないこと、中小物流業者の市域外への移転転出を促す要因(千葉市都心部再開発への圧力)がバブルの崩壊によって小さくなったこと、バブルの崩壊で想定していた開発主体が新規の事業に着手しないことになったこと、当該地区の地価条件が良くないこと等の要因によって取りやめられたものである。言い換えれば、移転立地先の開発環境が変わったという要因が中心であり、誘導対象として想定している既存市街地内の中小物流業者自体の事業環境は変化していないことになり、新たな物流施設整備が必要な企業が少なくないと考えられる。

このようなタイプの需要に対処するために、民間企業が四街道ICから遠くない地域において流通業務用地(「千葉・み春野プロジェクト」)の開発に着手している(図表3-35)。千葉・み春野プロジェクトの分譲面積は3.4ha(整備済みの7区画の内3区画は大手企業に分譲済み)と小規模であるが、ここは千葉港の後背地としての位置づけのもとで、千葉総合卸商業団地協同組合の事務所、店舗、倉庫、荷捌き場、卸団地会館等の進出予定地とされている。

 

イ 四街道市への立地適合性

物流施設の新規立地意向の継続的な強さにみられるように、物流環境変化のもとで、物流センターの整備は、経営合理化のなかで従来以上に重要な位置づけをえている。

四街道市の計画対象地の地域条件は、首都圏というわが国最大の人口・産業集積地(出荷・仕入先に相当する)に近接し、しかも、高速交通体系のICに隣接しているという物流施設の立地に際して最も重視される優位性を有している。

しかし、他方では、立地条件が優れているだけに、千葉北インターチェンジ周辺開発予定地がそうであったように、用地費用の水準が高くなり、競合する地域との優位性が相対的に低下する可能性がある。

物流大手企業や国際航空貨物取扱大手企業がすでに施設立地をすすめているという状況をみると、本計画対象地の整備スケジュールとの関係で、立地の潮流を外してしまう可能性があろう。そのため、立地ニーズが強く出ている物流企業の誘致については、開発スケジュールを明確化し、情報発信をし続けることによって当地域への関心を継続させることが必要である。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION