さらにいえば、(3)で検討した緊急通報システムとここで検討した徘徊老人探知・保護システムは、具体的なニーズの現れ方には違いがあるものの、これに対応すべきシステムの基本要素機能にはそれほど大きな違いはないともいえる。その意味では、人的要素と機械・機器システムの要素を適切に組み合わせて、地域特性に合った多用途の仕組を組み立てることも検討の価値のある代替案であろう。
なお、徘徊老人への対応策として、以上とは全く異なる提案もなされている。「徘徊公園」というのがそれであり、無意識に徘徊したくなる痴呆老人の欲求を抑圧するのではなく、それに適した場所を与えて対応するというものである。徘徊探知システムが「事後的」なセイフティ・ネットであるとするならば、「徘徊公園」はいわば痴呆予防や悪化防止に役立つ可能性をもつ代替案であり、地域資源の活用という点でも検討に値するものと思われる。
以上に検討した見守り・安否確認システムの事例について、サービス機能別の資源活用状況を整理すると、図表5-8のとおりである。事例の配列に際しては、図表5-5と同様に「見守り対象」の特性で二つに大別して示した。